季節の変わり目や風邪をひいたとき、お子さんが咳をすることはよくありますよね。
当院でも咳の症状で受診されるお子さんは多いのですが、ときどき保護者の方から
「子どもが変な咳をしているんです」
と相談されることがあります。
「重たい感じの咳」
「何か詰まっているような咳」
「苦しそうな咳」
などさまざまな表現がありますが、特によく聞くのが
「オットセイの鳴き声みたいな咳」
という表現です。
実はその咳、クループ(クループ症候群)の特徴的な症状かもしれません。
今回は、クループ(クループ症候群)とはどんな病気なのか。
自宅でできる対処法や治療についてお話ししていきます。
クループってどんな病気?対処法や治療は?

クループ(クループ症候群)とは、ウイルスなどの感染によってノドの奥にある「喉頭(こうとう)」という部分が腫れてしまう病気です。
この喉頭は、口を開けたときに見えるノドよりもさらに奥にあるため、普通にノドを見ただけでは腫れているかどうかは分かりません。
喉頭が腫れて気道が狭くなることで、
・犬が吠えるような咳(犬吠様の咳)
・声がれ
・呼吸時のヒューヒュー、ゼーゼーという音
といった症状が現れます。
特に特徴的なのが、犬が吠えるような独特の咳です。
医学的には「犬が吠えるような咳」と表現されますが、実際には「オットセイの鳴き声のような咳」と感じる保護者の方も少なくありません。
また、クループは、日中は比較的元気でも、夜間から明け方にかけて急に症状が悪化しやすいという特徴があります。
0~3歳頃の乳幼児に多い病気ですが、小学生くらいまで繰り返すお子さんもいます。
私自身も子どもの頃にクループを経験したことがあります。
幼稚園の年長から小学生くらいだったと思いますが、咳をするたびにノドの奥が塞がれるような感覚があり、とても苦しかった記憶があります。
年齢的に状況が理解できていたこともあり、「苦しい」「このまま息ができなくなったらどうしよう」と不安になって泣いていたことも覚えています。
そのくらい、クループの咳は本人にとっても保護者の方にとっても心配になる症状なのです。
次に、クループの咳が出ている時に、自宅でできる対処法をお伝えします。
■加湿する■
加湿器を使用したり、シャワーのお湯を出して湯気を充満させた浴室で数分過ごしたりすると、ノドの腫れ・乾燥が和らぎ、症状が軽減することがあります。
昔はポットの湯気を吸わせる方法もありましたが、やけどの危険があるためおすすめできません。
安全な方法で加湿を行いましょう。
■落ち着いて安静に過ごす■
泣いたり興奮したりすると、咳や呼吸の症状が悪化しやすくなります。
抱っこをするなどして安心させ、できるだけ落ち着いて過ごせるようにしてあげましょう。
また、横になると苦しさが増すこともあるため、上半身を少し起こした姿勢の方が楽な場合があります。
寝るときは、クッションやタオルなどを利用して上半身を少し高くするとよいでしょう。
■こまめに水分をとる■
発熱や呼吸の負担によって水分不足になりやすいため、こまめな水分補給を心がけましょう。
ただし、一度にたくさん飲ませるのではなく、少量ずつ頻回に飲ませるのがおすすめです。
クループは多くの場合、数日で自然に改善していきます。
しかし、次のような症状がある場合は早めに受診してください。
・肩で息をしている
・胸がペコペコとへこむような呼吸をしている
・顔色や唇の色が悪い
・呼吸の音が強く、ぐったりしている
・水分や食事が十分にとれない
夜間であっても、呼吸が苦しそうな場合は救急外来の受診を検討しましょう。
病院では、喉頭の腫れや炎症を抑えるためにステロイド薬を使用したり、気道のむくみを軽減するための吸入治療を行ったりすることがあります。
ここからは少し余談です。
院長先生から聞いた話なのですが、ヒブワクチン(Hibワクチン)が普及する前は、ヒブ(インフルエンザ菌b型)などが原因となる、細菌性クループを発症する子どももいたそうです。
細菌性クループは、現在よく見られるウイルス性クループよりも喉頭の腫れが強く、ノドの奥・気道がふさがって、窒息してしまう危険性が高かったため、命に関わることもあったそうです。
現在はワクチン接種の普及により、このような重症例は大きく減っているようです。
クループのような病気を防ぐという意味でも、予防接種はとても大切というお話です。
まとめ
クループの咳は普通の風邪の咳とは違うため、初めて聞くと「この咳、本当に大丈夫なの?」と驚いてしまう保護者の方も多いと思います。
また、お子さん自身も呼吸のしづらさや独特の咳に不安を感じることがあります。
そのため、今回の記事では、クループ(クループ症候群)という特徴的な咳を伴う病気があるということを知っていただきたくて、また、自宅でできる対処法についてもご紹介させていただきました。
多くの場合は自然に改善しますが、
・症状がなかなか良くならない
・どんどん悪化している
・呼吸が苦しそう
といった場合には、早めに医療機関を受診してください。
現在では重症化するケースは少なくなっていますが、クループは気道が狭くなることで呼吸に影響を及ぼす病気です。
心配なことがあれば、迷わず受診してくださいね。
